「今日の日ほど彼を憎いと思ったことはない」
涙ながらにそう語った新婦のお父様がいました。
一生に一度の結婚式。
新郎新婦さまにとってそうであるように、ご両親にとっても人生で両親として立ち会う機会はそう多くはありません。
たくさん不安や迷いもあります。
晴れ舞台を前に嬉しい気持ちと、寂しいような、悲しいような。
そんな複雑な気持ちでいっぱいなはずです。
しかし、いざ大勢のゲストの前でインタビューでマイクをむけられると、良いことを言ってしまいたくなります。
「素敵な旦那さんと出会えてよかったね」
「一緒に頑張っていくんだよ」
素敵な言葉をかけてくださいます。
その日、新婦のお父様は朝からとても無口でした。
バージンロードを歩くときも、楽しい披露宴中も、大らかなはずのお父様がどこか怒ったような顔つきでした。
披露宴の終盤。司会者はお父様に突撃インタビューをしました。
「今日この日を迎えてどんなお気持ちですか?」
いつもなら新郎新婦に優しい言葉をかける新婦へのインタビュー。
お父様は言いました。
「昨日の夜から悔しくて悔しくて眠れなかった」
10年間の交際を経て結婚にいたった新郎新婦。新郎と新婦のお父様はよく飲みにいくほど仲良し。
「大好きなはずの彼(新郎)のことが憎くて仕方ない、これほど彼を憎いとおもったことはない」
「今日だけは大事な娘を奪った男として、嫌いだとおもわせてくれ」
涙ながらにそう語ったお父様。新婦様もそして新郎様も大粒の涙があふれました。
大事に大事に育ててきたからこそ、その日を迎えたお父様の正直な気持ちだったはずです。
結婚式は魔法の1日です。
普段は感じない、感じてもなかなかつたえられない言葉や感情があふれてきます。
きっとこれから新しい一歩を踏み出す2人にとって、両親にとって大事な言葉たちです。
新郎新婦さまの思いはもちろん、そこにいるすべての方の思い。
自分の思いを伝えられる場所。これからも創っていきたい…そう心から感じました。
たにむ
愛知県安城市の結婚式場・ゲストハウス
ブラン:ベージュ